究極のハイレゾは、アナログ!?

「デジタル vs アナログ」という議論は、CD登場以降繰り返し行われています。ハイレゾやUHDーBD隆盛のいまでも、レコードやテープ、フィルムのよさが再認識されていますが、果たして。

便利は人を不幸にする?

デジタル技術の進化によって機器の小型化・統合が進むと、オーディオビジュアル再生機器にも自由なデザインの余地が生まれます。そしてそられがトータルでアナログの心地よさに勝ったとき、次のステップが拓けるのだと思います。

車もガソリンエンジンでなければレイアウトが根本的に変わりえますし、LED照明も高効率と価格競争が一段落して自由なデザインや白熱球に迫る演色性を備えるものが続々登場しています。車で言えばテスラmodelS、照明で言えばTRI-Rのように、多少高価であってもそちらを選択したくなります。

そもそもほんとうに
「アナログは音がいい」のか。

ハイレゾ音源全盛の時代にあっても、レコードは音がいいと言われます。アナログは人にとって心地いいのだ、と言うのはたやすいのですが、再生の手間やS/Nなどを考えると、機器の性能としては最新のデジタル機器に勝るとは言いがたいはずです。ただオーディオの場合、デジタル化による「技術の進歩」万歳とばかりはいいきれないところもあります。

一般に「アナログは音がいい」と言われるとき、その要因は、ソース自体の良さ、つまりアナログ時代に収録された音源の良さにあるようにおもいます。

デジタルの幕開けであるCDとの対比で考えれば、それ以前の1960年代から70年代のアナログソースに良質なものが多いのは確かなようです。そして何より魅力的な「時代の音」というべきものがありそうです。

ビートルズ以前、カラヤン以前のアナログ時代の初期は本番一発録り。マルチトラックのテープレコーダーもなく演奏のやり直しができません。ほんとうに優れたミュージシャンしかスタジオには入れないので、必然的に音楽のクォリティが高くなる。その点、デジタル機器を使えばあとからどんな編集も加工もできるという前提で録音に臨んでしまうというのです。

もちろん最終的には、人間の耳にどう聞こえるかが大切です。この世にある自然の音源は空間に散らばっているのに対し、オーディオが放つ音の世界は、それをマイクで拾い上げたものを素材にしているに過ぎないからです。技術がどれだけ進歩しようとも、その基本構造は変わらない訳で、だからこそ、本来の演奏はどうだったのかを聴く側は強く意識しなければならないのだとおもいます。

これこそが、「アナログ時代のいい音」を収録したレコードを何度も聞き、その印象をしっかり記憶しなさい、アナログ時代に手間暇掛けて収録された音源の良さを忘れないことが大切だと言われる所以です。

エアータイトの三浦篤さんに「いい音」の基準は? と伺うと、「生のステージの音場再現性」だとおっしゃいました。あるべき場所にあるべき楽器が浮かび上がること。それは昨今の主流であるオンマイク録音では難しい、と。

確かに、自ら楽器を演奏する方ならご承知の通り、音は360度自分のまわりに存在するのが自然です。でも、一般的なステレオ再生のように、目の前等距離の2点から自分めがけてやってくる音のビームでそれを再現するのは至難です。

しかしホームシアターの世界では、ドルビーアトモスやDTS-Xといった3次元立体音場再生機能を備えたAVアンプがスタンダードになっています。そこでは、驚かすための効果音というよりは、その場の気配や雰囲気を伝える環境音を意識した収録が目立っており、デジタル技術がもたらしたすばらしい進化のひとつだとおもいます。

音楽再生における位相の重要性

では、いい音源を少しでも家庭でいい音に再現するには、どこに意を払えばいいでしょうか? アナログ時代にも録音やマスタリングの過程で間違いが生じるなどして音源自体が不確かなものもあったでしょうし、正しい音源であっても正しく再現できる環境を整えなければ意味がありません。

自然の音との対比で考えたとき、とくに重要なのは「位相を正確に再生すること」ではないでしょうか。

ひとくちに「位相」と呼ばれるものにも実はいろいろなものが混在しており、簡単かつ正確に理解するのは難しいことですが、ここでは(1)絶対位相=極性と、(2)位相特性=時間軸の問題について取り上げたいと思います。

絶対位相(極性)の問題に切り込んで繰り返しその重要性を唱えておられるのが、ザンデンオーディオシステムの山田和利さんです。どんな曲でも、演奏のアタマ数秒聞いただけで正相か逆相かわかるとのことですが(汗)、その問題意識の表れとして同社のアンプにはワンプッシュで位相を反転できるボタンがついています。同様のものとしては、アキュフェーズの「INVERSE」スイッチが知られています。

一方、ある周波数を基点にして、そこからの連続した周波数変化に対する時間の遅れ(進み)を表したのが位相特性です。位相は、プラス/マイナスあるいは正/逆という極性表現と同じ言葉を使いますが、単位を含めひじょうに難解な次元です。とにもかくにも、2ch以上のオーディオ再生では、チャンネルマッチが最も重要です。極性も位相特性も、全chで揃っていることを確認すべきでしょう。

その点に正面から取り組んだのがパイオニアのAVアンプで、フェイズコントロールという機能を盛り込んでいます。機器内で起こる位相のズレを補正するほか、スピーカーシステムの位相や、ソース自体の位相ズレまでも補正してしまう機能まであります。

31Front_rgb のコピー

この点、KEFのスピーカーのアイコンとなっている2ウェイドライバーUni-Qは、中音域(MF)と高音域(HF)駆動部が空間的に全く同一位置にあるため(点音源)、フルレンジスピーカーのメリットである全方向で調和のとれた同一の指向性と、正確で時間ずれのない再生を実現しています。

加えて低音も充実させようとするなら、ウーファーを追加し、エンクロージャーも大きくするよりありません。時間差が出ると言うことは、位相差が発生するということ。ですから、トゥイーターに耳の基準を合わせると、追加するウーファーをそれと等距離にするにはウーファーは仮想同軸に配置するしかありません。これが、Rシリーズザ・リファレンスシリーズが採用する設計手法です。

この思想をさらに徹底しようと推し進めたのが、Bladeシリーズです。HFとMFの音響芯を一致させるUni-Qドライバーだけでなく、ほか4本のLFとも音響芯がエンクロージャーの中心の一点でピタリ一致することで、全帯域完全点音源を初めて実現。「何も引かない、何も足さない」を体現しています。

32kef_sas_in

 

その音は、面で威圧してくるような従来のスピーカーとは異なり、ひじょうにナチュラルで優しい耳触り。あなたのリスニングルームに招いてじっくりと身を委ねるほどに音楽の素晴らしさを実感できるはずです。

  • Pocket
  • LINEで送る