天然素材と人の手。映像と言語。音楽と映画。

MINOVA JEWEL KNIFEと多治見市モザイクタイルミュージアム

2016年6月1日から3日に開催された「インテリア ライフスタイル」。今回も注目を浴びたもののひとつに、岐阜県多治見発のセラミックナイフがあります。それはMINOVA(ミノバ)セラミックジュエルナイフ。伝統と最先端のテクノロジーが融合し、宝石のように優雅なナイフです。

特筆なのはなんといってもこの美しいBlade(刃)。高価なジルコニアセラミックを500tでプレスしてから1660度で焼き上げて作ります。6年の月日を経てヨーロッパを中心に人気が定着し、この3月には多治見ビジネスイノベーション大賞を受賞。今年の「インテリアライフスタイル」展でも国内外のバイヤーから注目を浴びました。Blade(刃)は、結婚式のケーキ入刀や開通式のテープカットなどにみられるように、古くから「運命を切り開く」「悪いものを断ち切る」神聖なものとして重用されてきました。家庭のリビングに華やぎを添える存在に相応しいとおもいます。

DSC_5842MINOVA JEWEL KNIFE。ギフトとしても人気が高い
Blade2-Gloss-White-RGBBlade Twoもモダンリビングの芸術品。

ジュエルナイフのBladeの根源は多治見にあり

そんな製品を生んだ岐阜県多治見市には、6月にオープンした多治見市モザイクタイルミュージアムがあります。この展示をみて思ったのは、「鶏が先か、卵が先か。」ということでした。その理由は最後に。

ツリーハウスや舟など、茶室をモチーフにした独特の建築様式で知られる藤森照信さん。多治見の歴史的考察から生まれた想像上の建物なのでしょう。

IMG_7521

ところで、「モザイクタイル」にはちゃんと定義があって、表面積が50平方センチ以下の小さいタイルのこと。

ミュージアムの建物自体は土壁の左官仕上げに覆われ、タイルは一定間隔に配置されるにとどまっています。これは、タイルの原料である「土」を前面に押し出すとともに、ひとつひとつのタイルがキラキラと多治見の灼熱の太陽光に輝くことで装飾としての存在感を感じさせる仕掛けなのでしょう。

IMG_7451

こうしてマットな「土」から天空に向かって輝く「タイル」へと多治見の人々によって昇華された宝石のような粒々は、最上階である4階の天井にポッカリ空いた空洞から建物の中に向かって降り注ぎます。あたかも、母体の中に還っていく子どものように。

建物に入ると、順路としてもまず4階まで長い階段に誘われます。明かりを求めて地上を目指す昆虫にでもなったかのように上ったのち、少しずつ下りつつ展示を見学するように工夫されています。

IMG_7459

言葉をモザイクに。大巻伸嗣さんのインスタレーション

そのモザイクタイルミュージアムに、2016年8月28日まで展示されている大巻伸嗣さんによるインスタレーション「Echoes Infinity 永遠なる物語」は、閲覧者それぞれが、床の上の紙で床の上に物語を描くというもの。

IMG_7465

来場者ひとりひとりがモザイクタイル職人となって、文字で空間を描く、という趣向なわけですが、呪文のようにアタマの上を呪文のように逡巡する「文字映像」は、耳なし芳一さながらのおどろおどろしさを備えています。さすがです。

IMG_7468
IMG_7469

さて、先に申し上げた「鶏が先か、卵が先か。」の意味について。天然の土を焼いて作ったタイルをわざわざ小さくして、人がおのおのの感性と手で並べていく。文字も同じで、視覚認識としての記号性も人間が関与することで想像膨らむ物語映像になる。音楽や歌、あるいは映画から人が受け取ることも、実はそんなところなのでしょう。

  • Pocket
  • LINEで送る